実は私は、60年代~70年代のロック、特にルーツロック
というものをほとんど聴きません。
私にとってロックのスタートはパンク・ロック以降で
80年代以降ロックこそ私にとってのロックです。
最低限の教養として幾つかのアーティストを聴くものの
これだけロックについて語ろうとしているクセに、
ビートルズも、ローリング・ストーンズも、ジミー・ヘンドリクスも
アルバムを1枚も持ってません。
だから、Lenny Kravitz(レニー・クラビッツ)が登場し、
アルバム『Mama Said』を初めて聞いたときに
ルーツロック復権の旗手という先入観なしに、迎え入れることができました。
| Mama Said | |
![]() |
Lenny Kravitz
Virgin 1992-12-22 おすすめ平均 |
ただ、レニー・クラビッツがロックのルーツを描いているとしたら、
アナログ機材を偏愛することや、その楽曲のエッセンス、
アーティストとしてのあり方ではなく、
“ロック=倦怠の音楽”であるという本質を、無理なく、自然体に体現している所でしょう。
今回紹介する『Mama Said』はレニー・クラビッツの全アルバムの中でも
“倦怠の音楽”としてのロックをナチュラルに表現しきった傑作。
そして、私がレニー・クラビッツの中でも、もっとも愛するアルバムです。
『Mama Said』の話をする前に、私がルーツロックをあまり聞かない理由として、
音楽に対する思い入れ以前に「これを聞かなければイケナイ」みたいな歴史学習的な発想が
受け入れ難いことがあります。
そして、それらが“ロックの原点”みたいな評価をされれば、されるほど、
生理的な抵抗感が生まれます。
だから、レニー・クラビッツについても、「ルーツロックの再現」としてではなく、
今日のアーティストとして受け入れてます。
レニー・クラビッツについて、最早説明は不要でしょう。
『Mama Said』はレニー・クラビッツ2枚目のアルバムにして
ブレイクのキッカケとなった作品。
単なるルーツロックに対するオマージュではなく、
“普遍的なロック”を無理なく、自然体で、等身大に体現したアルバムです。
アメリカの暗部を告発する1曲目『Fields Of Joy』
筋肉質なギターリフが冴える2曲目『Always On The Run』
ロックバラードの王道ともいえる『Stand by my woman』
シンプルでピュアなロックサウンド数々が聴く者を
“心地よい倦怠”の世界へと誘います。
そう、癒しではなく“倦怠”
ここまで、“倦怠”を美しく表現した音楽は『Mama Said』以外見当たりません。
そして、“倦怠”がロックの本質であると認識させられます。
(勿論、“倦怠”だけがロックの本質であるとは限りませんが。。。)
『More Than Anything In This World 』を始め、
“倦怠”が静かに、心に奥深くに染み入るバラードナンバーが続き、
13曲目『What The Fuck Are We Saying? 』でテンションは最高潮に達します。
そして、アコースティック・ギターが印象的な『Butterfly』によって静かに
幕が閉じます。
私は、『Mama Said』を聴いたとき、「ロックって倦怠の音楽だったんだ。。。」と、
思わず呟いてしまいました。
いわれてみれば、ルーツロックも“倦怠の音楽”であると思えます。
しかし、レニー・クラビッツが『Mama Said』で奏でる“倦怠”は
まぎれもなく、今日の、今の、“倦怠”です。
レニー・クラビッツは単なる懐古趣味ではなく、今を生きている“倦怠”に
等身大で向き合った結果、ルーツロックたどりついたではないでしょうか?
だから、私は今の“ロック”を、“倦怠”を求めて
何度となく『Mama Said』を聴きます。
“癒し”を超えた“倦怠”を求めて。。。。
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- 『Mama Said』Lenny Kravitz(レニー・クラビッツ):ロックは倦怠の音楽 - *Marquee Moon より

